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2017.10.12(thu)-2017.10.16(mon) 福原冠 in シンガポール


10/12

昨日の夜、範宙メンバーで話し合いがあった。話し合いというか、あれはほぼ喧嘩と言っていいと思う。なんだかひどく疲れた。

稽古。この日もいっぱい話した。話しているうちに、話を聞いているうちに作品に対する客観性みたいなものが持てなくなっているような気がしてきている。自分の考えていること感じていることは喋れるけど、正しい選択かどうかが分からなくなっている。たかくらくんはディスカッションにおいて一歩引いてとても冷静に作品について分析している。そういう目線が持てなくなっている。たかくらくんは昨日の話し合いでも冷静だった。答えは必ずしも一つでなくてはいけないか。複数あっては駄目か。作り手はどこまでを決め、どこまでを把握しておくべきなのか。考えれば考えるほど自分には果てしなく思えて仕方がなかった。

10/13

朝から体がだるい。熱もある。やってしまった。稽古中に風邪をひいてしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。稽古期間中にがっつり風邪をひいたのは初めてだと思う。悔しかった。稽古中はしんどいところを見せないつもりだったけど、この日のディスカッションは完全に何もできない状態でいた。卓卓に「大丈夫?」と聞かれ、気丈に振る舞ったつもりが逆ギレみたいになってしまい完全に空回り。まじでアホすぎ。稽古後、全力で寝る。

10/14

深夜に大量に汗をかいて起きた。薬と水を飲んで寝ようとするもなんだか寝つけず、ベッドに横になりながら窓の外の景色を眺めた。シンガポールの夜は明るいのに静かで、そのことがなんだか妙に不気味に思えた。そういう時は音楽だ思ってイヤホンを突っ込み、ONOのミックスを聞きながら寝る。でも僕は熱がある時にテクノを聴くと必ず悪い夢を見ることを知っている。この日もどんな内容かは覚えてないけど後味の悪い夢で、案の定ものすごく汗をかいたのだった。

昼過ぎに起床。まだ少し頭はふらふらするけど大分回復した。この日は本を読んだりギターを弾いたりして過ごした。ギターは劇中に弾くシーンはないけど役に関係ある気がして持ってきた。むちゃくちゃ下手くそだけど、なんだか弾いてる間は無心になれる。持ってきてよかった。

10/15

ようやく体調が戻ってきた。病み上がりで妙に体が元気。なんだかそれが怖いよ。

そういえば昨日でたかくらくんが帰国。彼はこの1週間でいくつもの映像を作った。久しぶりの一緒の創作だったけど、彼の仕事の早さには本当に驚いた。稽古中もディスカッションに参加しながら映像を作っていたし、稽古後もみんなと話をしながら映像を仕上げていた。「間に合うのかな~」なんて言いながらもきっちり全て作っていたし、しかも今後必要になるかもしれない未確定な映像も「一応作っといた」と言って帰っていった。たかくらかずき恐るべし。

できあがった映像を見て、摩訶不思議な気持ちになる。どういう作業によってああいった映像が出来るのかも分からなければ、発想自体もいつ思いついているのか分からない。作る前からイメージがあるのか、作りながら思いついていくのか。この1週間彼がふんふん悩みながら作業をしているところを見たことがない。自分の横で淡々とパソコンに向かって何かをしていたという姿しか知らないぞ!自分と言えば、台本を読むのも、さんぴんの企画書を書くときも、この日記ですらふんふん言っている。見せないだけなのかも知れないけど、それすら分からない。

ここ数年、ずっと「余裕」について考えている。「余裕」というやつの正体について。なんだろう「余裕」って。でもたかくらくんのあの感じには、まさしく余裕を感じるなあ。そうなるとたかくらくん、既に掴んでるのね、、。恐るべし、たかくらかずき。でかいぜ、たかくらかずき。

10/16

稽古は今日から後半戦。なるべく止めずにシーンをやっていく作業。細かく見ていくのとは違う、流れの中でしか見えてこないこと。今日の稽古で、今まで考えてきたことは一回リセットする必要があると思えた。遠回りが決して役に立たないかといえばそうではなく、遠回りしたからこそ辿り着けるとこがある。そう信じよう。。まだまだ時間はあるある。。。

今回の作品はサンクチュアリーという架空のネット空間が舞台。サンクチュアリーの中で登場人物は交錯していくのだけど、舞台上の時間は次々に連続して流れるのではなく、飛んでいく。そのことをずっと考えている。自分はトレーシー役のアリソンと一緒のシーンが多く、この2週間何度も稽古をしてきたけど、正直僕たちはここまで面白いほど噛み合わなかった。自分の考えていることが果たしてあってるのかも分からず、彼女の提示するものも分からない、なんだか上手くいってないという感触だけがある2週間だった。でも今日、それはお互いに自分の考える自分のあり方を試しているからだということが分かった。彼女もそのジャンプする時間のなかでどう身を置いていくのか、どうやって変わっていくのかを考えている。そう話したわけじゃないけど二人の中で、試行錯誤を楽しもう、みたいな見えないやりとりが今日はあった。

今日まで試したことは上手くいかなくても、また違うことを試せばいい。次に目指す方向が正しいかは分からない、それでも考えよう。インスピレーションに従おう。自分でも笑っちゃうような打開策を思いついて、明日また、試してみよう。

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Theatre Collective HANCHU-YUEI

 2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。

 現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。

生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。

 近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。

 『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。

『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞。

090-6182-1813

(合同会社範宙遊泳)

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