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2017.10.17(tue)-2017.10.22(sun) 福原冠 in シンガポール

November 22, 2017

 

10/17

稽古後にブレードランナーを見た。こっちでは10月頭から公開されている。前作を見たのは遥か昔のことで、あの時期に見たいくつかの映画と記憶がごっちゃになっていて(最近までブレードランナーは黒人の殺人マシーンの映画だと思っていたし、一体俺はなにと勘違いしているのか、それも分からない、、)、内容は正直言ってほとんど覚えていない。でも最後のあの雨に打たれた(打たれていないかも、、、)金髪の人がとても深いことを言っていたような、そしてそれを聞いてるハリソンフォードの表情もすごく複雑な表情をしていた、そのことを覚えているぐらい。でも大人になってから自分の周りにはブレードランナーが大好きな人が多いし、なにかを説明する時にブレードランナーの一場面や設定が引っ張り出して話をするということもある。今回の稽古場でも話が出た。見てないわけではないから乗れないわけではないけど、覚えていないから何も言えない。長年そんな状態だった。だから改めて見てみようと思っていたのだ。大人になって見たら全然違う印象だったなんてことはよくあるわけで。

 

にもかかわらず2049、なんの予習も復習もなしで見てしまった。結果はというと、むちゃくちゃよかった。そもそもブレードランナーって何のことだっけという人間でも深く感動してしまう、とんでもない映画だった。あんなにも美しく、あんなにも徹底的に孤独を描いた作品、他にあったけな。日本帰ってもう一度見よ。中国語の字幕で見るブレードランナーはサイバーパンク感が増していて妙にはまっていた。

 

鑑賞中、何度か「聖域」のことを考えた。人間を人間足らしめるものは一体なんなのか。「記憶」があればそれは人間か。「記憶」を持つ人間と同じ見た目のアンドロイドは人間と呼べないのか。彼らを殺せてしまう人間とは何か。あれ、これってもしかして前作でやっていたこと??だとしたら超面白いじゃん、、。今回はさらに進んで「記憶」もあって「妊娠」もできる生命について。その創造主は神か。人は神になれるのか。嘘の記憶と愛の根拠。SFとはありえない未来の話ではなく、全然ありうる未来の話のことなのかも。大河ドラマとかの方が今の自分からするとよっぽどSFだ。僕らはらはあのころの未来に近づいてる。

 

 

10/18

幸良さんの話。

 

稽古場に行く道で、幸良さんは鼻歌で何かを歌っている。稽古場で、幸良さんは鼻歌で何かを歌っている。帰りに寄るスーパーで、スーパーを出てからも、幸良さんは鼻歌で何かを歌っている。よくよく考えてみると幸良さん、朝起きてドライヤーを当てながら鼻歌、キッチンで鼻歌、美希恵ちゃんが作るご飯を待っているあいだ携帯をいじりながら鼻歌。幸良さんは暇さえあれば鼻歌をふんふん言っている。大抵の場合は何をふんふん言っているのかは分からない。調子のいい時は鼻歌を超えてなにかJポップ的なもののワンフレーズを口づさんでいる。1、2秒だけ突発的に歌ったりする時もある。何人かでいる時も、二人きりであっても、まるでワンコールされる電話みたく咄嗟に鼻歌を鳴らす。彼のそれに気づいてから、なんとなく鼻歌が始まると、なにか良いものを見つけたような気がして密かに嬉しくなる。

 

でもこの鼻歌、なにか理由や意味があるんじゃないか。もしかしたら幸良さんは沈黙が気まずくて鼻歌を鳴らすのかもしれない。あるいは貧乏ゆすりのような無意識にでてしまうやつなだけの可能性もある。そういえば貧乏ゆすりは体に良いとラジオで聞いたことがある。となると体のバランスを保つためのある種の運動のようなものなのかもしれない。今話しかけてくれるなという警笛のような鼻歌の可能性もある。はたまたあるいは一般的に鼻歌を歌うタイミング、それはお風呂の中だ。幸良さんは歩きながら、あるいは椅子などに腰かけながらにして湯船に浸かっているのと同じ状態でいるのかもしれない。風呂に入ったときの「うー」「あー」みたいなのが鼻歌になって出ているのやもしれない。。

 

鼻歌の源流。幸良さんに聞いてみよ。

 

 

10/19

稽古。今日は久しぶりにディスカッションが続いた。長くなると察知したら、自分の調べ物を始める。その上で話を聞くようにした。先週の反省を活かしたディスカッションの参加の仕方だ。今までは頭から気合を入れてずっと考えるも、そのうちに自分でも訳が分からなくなってしまい、疲弊してしまうということばかりだった。でもそんななか、たかくらくんはずっと自分の映像を作りながら話を聞き、意見をしていた。これを真似してみようと思ったのだ。自分の耳に引っかかった時だけ集中して聞き、それ以外は作業をする。

 

昨日は初めて最初から最後までを通した。ランタイムは60分弱。ここから脚本も若干足され、音も映像も足されていく。上演時間は70分ぐらいにはなるんじゃないか。考えるべきこと、挑戦したいこと、トレーシーとのこと、作品全体のこと、初めての通しでいろいろと見えるものがあった。登るべき山が見えてきた。役のこと。その背景を考える。役者って、いや、表現者として生きるということは「自分」という器、その人間性でもって世界と対峙することなんだ。考えれば考えるほど怖くなるけど、言いようのないワクワクもある。さあどうしてくれようか。

 

10/20

通訳のなおさんと範宙メンバーで中華を食べに行ったのはこの日のことだ。「五星」という名のお店はその名の通り、すこぶる美味しくて、たまらない気持ちになったのだった。

最初、僕らは店の中にいたのだけど、冷房が効き過ぎていて外の席に移った。シンガポールの晴れた空の下で食べる料理、キンキンに冷えたビールは格別で、明日がオフだということもあってヘロヘロになるほど飲んだ。テラス席で(というほどのものじゃないけど)ビールを飲みながら、吹き抜ける風と通気口からの生ぬるい風を浴びる。飛び交う中国語と日本語が耳に入ってきて、目の前では車が行き来している。なぜだかふと、この光景を前から知っているような気がした。新宿の伊勢丹の本館とメンズ館との間にある、あの通り。営業が終わる頃のあの通りのことを思い出したのだ。夜の8時半を過ぎたぐらいから商品の入れ替えの業者や退勤する従業員、売れ残りの惣菜を売る人達であの薄暗い通りは賑わう。その喧騒の中で、日雇いのアルバイトをしていた僕は「季節の特別展」みたいなやつの大きなパネルを持って、業務用エレベーターが降りてくるのを待ちながら、「誰も気にしてないかもしれないけど、新宿で今この場所が最も東南アジアの風が吹いてる!!」なんてことを思っていたりした。東南アジアになんて行ったことないくせに。そんなことばかり考えてアルバイトの時間は必死に現実逃避をしていた。その時のぐるぐるした感情がぶわっと蘇ってくる。だからといって箸を休めるわけでもジョッキを置くわけでもなく、ホッケンミーやらエビチリやらをとめどもなく食べ、ビールはぐびぐび飲むのだ。

 

満腹になって帰宅し、15分だけプールに入る。泳ぐわけでもなく、ただなんとなく浮かんでみる。夜空に向かって生えるマンションを眺めながら、自分たちの住む18階の部屋を探してみる。贅沢な孤独だ。

 

 

10/21

オフ。ポップパンクのショウに行ってきた。ユース・カウンシルという、ラフォーレ原宿的なティーンのためのおしゃれビルの中にあるスタジオが会場だった。西荻FLATぐらいの大きさかな。一応ハロウィンパーティーということらのようで、会場にはカボチャやコウモリが吊るされており、出るバンドはなんとなくの仮装をしている。お客さんはこないだと比べるとどこかポップな雰囲気。着てるTシャツもBLINK-182とかLAG WAGONとかNO USE FOR A NAMEとかで、普段あまりメロディックのイベントに行かない自分としては新鮮だった。

ハロウィンだからなのか、なぜかは分からなかったけど、出るバンドはみんなカバー曲をいくつかやっていた。最初のバンドはWEEZERのSay It Ain't So。2番目のバンドはFOO FIGHTERS、3番目のメロディックのバンド(このバンドがすごくよかった!)がGREEN DAYのbasket cakeとMY CHEMICAL ROMANCEのI’m not OKをカバーしていて、もうこれが楽しかった。特にMCRのこのアルバムはよく聞いていたし、MVも大好きだったし、嬉しかった。みんなシンガロングしまくり。次のバンドもNO USEの曲をカバー。なんだか学園祭にでも来ているような気分だ。オリジナル曲はついつい見てるだけになっちゃうけど、ああいうアンセム的なのはみんなで分かち合える。単純にそれって素敵なことだと思う。

 

でも正直、今日のバンドはどれもイケてない。なんだろう、おそらく学生が主催して、友達のバンドが出て、いくつかちゃんと活動してるバンドをゲストで呼ぶみたいな企画だったんだと思う。でもこんなイベント、どこの観光ガイドにも載ってないよなと思うとなんだかおかしかくて、いつまでもいてしまった。

 

転換の間、キッズ達は前の方で次のバンドをスタンバったり、座り込んで携帯をいじったり話したりしてる。モッシュで怪我してぶっ倒れてるやつもいる。ライブハウスではよく見る光景だ。当たり前だけど、ここに来ないと見れない光景がある。ここに来ないと過ごせない時間があり、ここに来ないと出会えない人がいる。これも当たり前だけど、どこの土地にもローカルなカルチャーとか空気というのはあって、自分はそれがもっと知りたいしもっと体験したい。いつか海外でさんぴんやりたいななんて思ったりした。

 

 

10/22

夕方までギターを弾いたりこの日記を書いたりしていた。AKB48のとある曲をギターで弾いているんだけど、これがいいんだ。初めて聞いた時、なんて泣ける展開なんだろうと思って、いつかギターで弾き語りしたらいいだろうなと思っていた。もっとしっとり、もっと渋く。「いつも聞いてた フェイバリットソング あの曲のように」の辺りのコード進行がいい。そして「君だけ リクエスト中~」の辺りがたまらない。「あたまーのーなーかー」を「ま」と「の」と「なーかー」で和音を分けて弾きたいんだけど、音が見つからず。うむむ。

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Theatre Collective HANCHU-YUEI

 2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。すべての脚本と演出を山本卓卓が手がける。

 現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。

生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、

より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。

 近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。

 『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。

090-6182-1813(制作)

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