Theatre Collective HANCHU-YUEI

 2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。すべての脚本と演出を山本卓卓が手がける。

 現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。

生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、

より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。

 近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。

 『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。

090-6182-1813(制作)

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2017.10.29(sun)-11.5(sun)-福原冠 in シンガポール

January 8, 2018

 

10/29

本番前の最後のオフ。洗濯をしたり部屋の掃除をしたりギターを弾いたりしてゆっくり過ごす。

夕方、海に行った。前に劇中の映像を撮りに海に行ったとき、いつかここでゆっくりしたいなと思っていたのだ。ギリギリ泳いで行けるぐらいの距離に大きな貨物船がいくつも停泊している。もう一ヶ月いるけどこの異様な光景は慣れないな。ベランダから見るより、浜から見る方がより非現実的。西日の差す海辺はなんだかとても気持ち良く、しばらく動く気になれなかった。本を読んだり波の音を録ったり、ぼんやり船を眺めたりしていた。動く気配のない船を眺めながら黒船が来たときの日本人の気持ちのことを想像したりもしたけど、まじでめっちゃびっくりしただろうな。。それから海沿いにあるカフェ(というかレストラン?)で日記を書いて、頭からもう一度ゆっくり台本も読んだ。トレイシーと出会うシーンのことを、まだ成立していない箇所のことをぐるぐる考える。閉店ギリギリで明日試したいと思えるアイディアを思いつく。よし!

明日からテクニカルリハーサル。

 

 

10/30

テクニカルリハーサル。照明や音響、映像が本番用になり、その中での稽古。もちろん衣装もある。今日はメイクのモーリーがみんなにメイクをしてくれ、その状態で通した。これはメイクあるあるだけど、この日のメイクは初めてということもあってかなり派手目。ここから調整されていく。それでも今日は、例え抑えた演技をしたとしてもメイクが半端なく主張してくるから、そのギャップがおかしかった。やってる側は次第に慣れてくるから、やりとりは真面目なのに起きてることが異常、みたくなっていて、それに気づいてからまたおかしくなってくる。

メイクを見るという意味においても登場人物の関係性という意味においても、今日の通しは一歩前に進んだと思う。昨日思いついたことも機能した。このまま一つも落とさず、積み重ねて行って明後日の初日を迎えるべし。おっし!

 

 

10/31

怒涛の2回通し。若干疲れたけど明日は初日!よっし、やってやる!やってやるぞ!おすおすおす!おりゃおりゃおりゃ!

 

 

11/1

昼に通し稽古。夜は本番。楽しい初日だった。何度も通していたこともあって、落ち着いてやれたかなと思う。

終演後はポストトーク。アルヴィンがとても上手く進行していたからか、質問や感想が途切れなかった。客席は若い人が多め。中国系の人、インド系の人、マレー系の人、白人、熱心に聞いている人、携帯をこっそり見てる人、メモをとってる人、つまらなそうにしている人、何かを聞きたそうだけどモジモジしている人、いろんな人がいる。いろんな人がいる観客席はとてもきれいだ。この観客席の美しさに僕らは勝てるか、そんなことを思った。

本番が終わって飲みに。しこたま飲んだ。明日は夜だけだしね。

 

 

11/2

久しぶりに昼頃まで休めた。ギターを弾いたり本を読んだり日記を書いたりして過ごし、劇場へ。昨日のことをみんなで話し、夜は2ステ目。どの舞台でもそうだけど、お客さんの前でやって初めて気づくことがいくつもある。

夜の本番を終えて飲みに。この日は美希恵ちゃんと幸良さんと武田くんと清水さんと「五星」の隣の中華料理に行った。そうそう、昨日から武田くんと清水さんが取材をしに来ている。二人は今日のステージを見てくれた。感想を聞いてすこしほっとした。最初はお芝居の感想からはじまって、いろんな話をした。とにかくいろんな話をとことんした。武田君は編集者、清水さんはカメラマン。お互いに似たようなところにいるけどやっていることも見ている目線も違う。だからなのか。なんだか話していても楽しいし聞くのも楽しかった。ワイワイ話していたらあっという間に夜中の2時半。ビール2杯で4時間も話していた。楽しい夜だった。じゃあねと別れて幸良さんに「楽しかったね」と言った時、背後から「楽しかったね」という武田君の声が聞こえた。誰か一人の気分がいいからではダメ、お酒が美味しいからだけでも、沢山飲めるからでも料理がおいしいからだけでもダメ。その場を成す全てのもが(気温とかも含めてね)とってもいい状態で噛みあって、その上で楽しいハプニングが起きたりなんかすると素晴らしい夜は生まれるのかもしれない。

 

 

11/3

この日も夜のみ。昼は武田君と清水さんと範宙みんなで海に行って撮影。清水さんはおっとりとした印象の方なのだけど、カメラを構えた途端とても楽しそうになる。なんだかそれが僕らは楽しかった。その後はマクドナルドに行って大きいカフェラテ飲みつつ昨日の確認。トレーシーとの最初のシーン、ニュアンスが微妙に変わってきている気がする。それは別に悪いことじゃない。アリソンとは気づいたら二人でひっかかることを話すことはなくなった。それは決して固まったからという訳でもない。二人の関係はその日、やってみないとどうなるか分からない。このままずっと二人とも自分の役のこと、二人の関係のことを考え続けて、変わり続けていけばいい。

終演後、この日もみんなで飲みに行った。昨日に続いて「五星」の隣の中華。ここがシンガポールで一番好きなお店。

 

 

11/4

昼と夜。

夜の回は両親が見に来たのだった。旅行ついでに観劇なのか、観劇ついでに旅行なのか、とにかく二人は来たのだ。終演後、「五星」でご飯を食べつつ感想を聞く。父は思ったより作品を面白がってくれた。父は全く演劇を見ないし、見たとしても「難しかった」ぐらいのことしか言わないし、自分も感想を聞くようなことはしない。父は内心いろんなことを考えているかもしれないが、出てくる言葉はいつもシンプルだ。いろいろとあるかもしれないが、感想はいつも大抵一言。その父が割と饒舌に感想を言っていて、これに少しだけ驚いた。外で飲んでるからなのか、海外に来たからなのか、「五星」で飲むと不思議と人はいい調子になるのだ。

お店の人にウバーでタクシーを呼んでもらい、二人はホテルに帰って行った。二人はマリーナ・ベイサンズに泊まっている。かっけー!

 

11/5

少し早めに家を出てマックに行き、この日記を書いて少し台本を確認して劇場へ。

今日の本番は15時から。観客の7割が高校生だったらしく、そのせいなのか客席の空気がいつもと違うように感じた。終演後のアフタートークも初日と違って沈黙が続いた。アルヴィンはそれすらも楽しんでいるようで、動じることなく進行していた。高校生のみんなは何を聞いたらいいか分からない、あるいは何が分からないのかも分からない、そんな様子だった。「どう感じたかに正解はないよ」とアルヴィンは言っていたが、これにもあまり返ってくるものはなかった。

自分が高校生だったらこの作品を見て何と言うだろう、奥歯に何か挟まったような表情のお客さんを舞台から見ながらそんなことを考えた。もしかしたらこれが初めての演劇という人もいるかも知れない。嚙み砕きづらい、形容しがたい作品は、もしかしたら一生かかってもそのニュアンスを言葉にすることはできないかもしれない。今日の観劇体験も記憶の地層に埋もれて、いつしか見たことすら忘れてしまうかもしれない。それでもふと、なにかの拍子に今日見た作品を思い出すことがあったとしたら、それは役者の頬を伝う汗だったり、何気ない一言だったり、指先や目の動きだったりするのかもしれない。

だからこそ思うんだ、僕らは瞬間を生きなくてはいけない。些細な一瞬に魂を燃やさなくてはいけない。瞬間の連なりを時間と呼んで、それを僕たちは作品にして区切っていく。誰かの記憶の中で永遠に続く瞬間を生きられるか、つまりはそういう仕事をしてるんだ。

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