2017.10.1(sun)-2017.10.4(wed) 福原冠 in シンガポール


10/1 現在10月7日深夜1時過ぎ。27階建てマンションの18階、地上うん百メートルのベランダからは似た形のマンションがいくつも見えて、その奥には貨物船だらけの海が見える。試行錯誤の一週目の稽古を終えて明日はオフ。ようやく振り返れるかなというところ。ノービアで書いています。

10月1日。この日は朝5時半に起床。7時半の電車に乗れば十分間に合うところをこんなに早く起きなくては行けないのは、出発までにいくつかやるべきことがあるからである。やるべきこと其の1は荷造り。僕はこの荷造りというのが大の苦手。当日の朝にならないとやる気にならない。衣服や整髪料、化粧品、ドライヤー、電圧を変える黒いの、思いつくものをほいほいスーツケースにいれていく。時間がないなかでいるいらないをジャッジしていくそれはなかなかな緊張感。そういえばDJやる時も決まってギリギリじゃないと持ってくレコードを選べず、その日は絶対に部屋がめちゃくちゃになるんだ。今回、衣服は多めに詰め込んだ。というのもインドに滞在した時、持って行った服が少なくて、着る服のパターンに飽きてしまったから。遊びに行くわけじゃないし、家と稽古場と劇場を行き来するだけだけど、結構これでその日の面持ちが変わる。それに少し綺麗目の服も入れておいた。レセプションやパーティーの時に着てく服だ。

やるべきこと其の2、ゲオの返却。前に返却しないままツアーに出てしまい、延滞金がとんでもないことになったことがある。同じ誤ちは繰り返してはならぬ!ゲオは遠い方の最寄駅にある。むちゃくちゃ面倒臭い、、。いやいやいや、ゲオ込みの5時半起床!「面倒くさいならやめちゃえば」という己の声に負けて暗黒面に落ちかけるもスーツケースをガラガラ引いて無事に返却。押忍。

やるべきこと其の3は公共料金の支払い。これもさささっと済ます。押忍。

9時、みんなで記念撮影をして出発。荷物検査でいきなりひっかかる。ロビーで飲もうと買った缶ビールが持ち込めないとのこと。捨てるのも悔しいのでググッと一気飲み。朝から何やってるんだろうという面持ち。飛行機は遅れることなく無事に出発。向こうの気候はどんなだろう。旅先のことをあまり調べないで行くのが好きなんだけど、数日前に美希恵ちゃんにシンガポールもやっぱ秋っぽいのかねえと尋ねると「年中真夏ですよ」と言われたのだった。うう。途中揺れたりしたけどとても快適で楽しいフライトだった。映画をいくつか、それとクイーンのスタジアムライブの映像を見た。フレディーマーキュリーとシックオブイットオールのルーの歌い方は微妙に歌い方が似ている気がした。ボヘミアンラブソディのあの途中の展開はどうやってやるんだろうと思って見てたけど、肝心のところがイメージ映像になっていて、イマイチよく分からなかった。知らない曲ばかりだったけどかっこよかった。ベイビードライバーを半分のところで着陸。7時間、あっという間だった。

降りてすぐに空気が違うと感じた。東南アジアの匂いだ。インドとはまた別の、スパイスの香りとはまた違うアジアっぽいとしか今のところ言いようのない独特の匂いだ。日本に来る外国人も同じようなことを思うのかな。どんなだろ、日本の匂いって。とりあえずシンガポール、ものすごい湿気!!The Necessary Stageの制作さん、カルメンが空港まで迎えに来てくれて、滞在する家まで連れて行ってくれた。道路が濡れていて、雨上がりなのかなと思った。家の詳細はまた今度。とにかく今日からしばらく地上うん百メートルの生活だ。

夜は近くのショッピングモールのようなところにある韓国料理を食べながら飛行機でなんの映画を見たかという話になった。美希恵ちゃんはワンダーウーマン、さちろーさんはジャッキーチェン、卓卓は一度見た映画をBGMにしながら本を読んだらしい。熊川ちゃんはララランドを冒頭だけ見たと言っていた。俺はララランド、4度目にも関わらず物凄く新鮮に楽しく見てしまったよ。モールの地下のスーパーで食料品などを買い込み帰宅。明日から稽古が始まる。いよいよ。

10/2 シンガポール2日目。8時には目が覚めた。快晴。とても気持ちよく起きれたのは大きな窓から差し込む日の光のおかげなのかも。シリアルとヨーグルト、バナナを食べて稽古場へ。稽古はThe Necessary Stageの劇場で行われる。つまり本番をやる劇場でずっと稽古ができてしまうというわけ。ありがたし。家から劇場までは徒歩20分と聞いていたけど歩いてみると30分近くかかった。至る所で工事が行われていて劇場までまっすぐ進めなかったということもあるし、目に映るもの色々なものが新鮮でキョロキョロしながら歩いていたというのもあるのかも。

TNSの劇場は図書館の入っている建物の地下にある。とても綺麗なブラックボックスだ。シアターグリーンの真ん中の劇場と同じくらいのサイズかな。ロビーにはTNSの作家ハレッシュの書籍化された戯曲や劇団の歴史が分かるパネルが飾ってある。磨りガラスの奥には劇団事務所がある。事務所というか普通に会社のオフィスのよう。すげ!

稽古は10時からスタート。既に美術もできている。脚本があって美術がある状態での稽古初日。衣装のイメージもある。頑張らなきゃだ!この日はできた台本をみんなで読んで作品についてディスカッション。今回の作品を各々が各々の目線で作品を捉え、読む人のコンテクストによって全く違う読み方をしている。大きくぽっかりと空いている穴をそれぞれ見つめ、それについて解説を重ねていくような時間。いくつも疑問と課題が浮かび上がったと思う。僕はこの戯曲は「生と死」、あるいは「ヒトをヒトたらしめるもの」という側面からこの作品のことを考えていた。でもそれではいくつか立ち行かないポイントがあった。でもそれは自分の役から見た世界の捉え方でしかないんだと気づかされたのはアルビンがシンガポールの文化的状況、社会のシステムのことを教えてくれたからだ。そのことを踏まえてこの作品は一部書かれている。音楽のバニのしてくれた話も面白かった。インターネットが見る夢について。役者や演出家じゃない人の目線は刺激的だ。彼らは平気で人間以外の目線から物を語れる。たかくらくんもそう。問題は問題として、課題は課題として、ぐるぐるしながら作品は少しずつ育まれていくです。

10/3 この日も8時には目が覚めた。しばらく横になりながら窓の外の景色をぼんやり眺める。そして目覚めのこの気持ちよさについて考えた。壁や床や天井が白いこと、ちょうど良い勢いで回るファンの風、少しだけ揺れるカーテン、窓の外に生えたマンション(これもまた白い)、眩しすぎない日差し、誰かが立てる朝食の音、そして携帯のアラームを設定していないこと。なんだか完璧すぎる朝。身も心もすっきりしている。そんな状態で朝を迎えたのはいつぶりだろう。朝起きて遅刻を気にしながら15分で家を出る東京の生活が嘘のよう。それすらもいま遠く眺めている。朝、目が覚めて一番最初に何が目に映るか。それって日々のことだ。次引っ越す時はその辺りのこと考えながら家を選ぼうなんてことを思った。

稽古場に向かいながら部屋から見える向かいのマンションを下から見上げる。なんとなくwilcoのアルバムのジャケットを思い出す。あ、あのアルバムの一曲目が台所から聞こえてきたら更に最高の目覚めかも。

10/4 この日も気持ちの良い目覚め。起きると幸良さんがベランダで煙草を吸っている。なんだかその様が絵になるなと思ってしばらくぼんやり見てしまった。

稽古場に行く道は工事中のところが多く、くねくね曲がりながら進まなくてはいけない。昨日まで平坦だった道がコンクリートで盛り上がっていたり、昨日はまっすぐ進めたのに微妙に旋回させられたり、突然歩道が消えたりする。2022年、この辺りに駅ができるらしい。通訳のなおさんがハレッシュにお客さんが来やすくなっていいことだねと言うと「5年後はね。でもそれまではずっとうるさいよ」と答えていた。ハレッシュはいつも絶妙な返しをする。自分たちが住んでいるエリアもそうだけど、劇場までの道には高層マンションが沢山建っている。僕は高い建物を見上げるのが大好きなんだ。あとちょっと最近、自分は室外機と配管の配置具合にぐっと来ることに気づいてしまい、なんでもないマンションの裏側やビルを見てはパシャパシャ写真を撮ってしまうんだけど、そんな自分的には室外機が空に向かってずらっとに並んでる様はなんていうかもう最高にアガる。劇場の回りのマンションにはベランダがない。そのために家の窓から鉄の棒のようなものが伸びていて、そこにいくつかの衣類がかけてある。春に参加したTOWERという作品のことを思い出した。塔の中から物干し竿が伸びてそこに青柳さんが服をかけるというシーン。マンションからいくつも鉄の棒が伸びているそれもちょっとぐっとくるものがあり、写真を撮ったけど、なんだか干してる服を撮っている人みたくなってないか、少し妙なメンタル。

シンガポールは敷地が狭いから高いマンションが多いんだと卓卓が言っていた。なるほど。

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Theatre Collective HANCHU-YUEI

 2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。すべての脚本と演出を山本卓卓が手がける。

 現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。

生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、

より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。

 近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。

 『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。

090-6182-1813(制作)

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